L-Triangle!7-1
- 2014/09/30
- 20:19
灰色の雲が、不安定な気流と共に渦を巻いている。地獄の天候は、基本的にはいつも曇りだ。光が差すのは、この地を監督する悪魔たちが次元の歪みを浄化した際の、数日間のみである。どことなく不穏な空の下、人々が土地の開墾に励んでいる。彼らは、天界に処刑されそうになっていたところを保護された罪人たちだ。命を救われたにも関わらず、罪人たちの表情は暗い。まるで何かに怯えるかのように、彼らは一心不乱に働いていた。彼ら...
L-Triangle!7-2
- 2014/10/02
- 20:20
3の世界が混乱の真っただ中にあるのと、ほぼ同時期。森の中を、一人の少年が突き進んでいた。周囲に人の気配はなく、繁みの陰から今にも何かが襲いかかってきそうだというのに、少年の歩調には一切の迷いが見られない。「キリヤ~、そろそろ休まない~?」少年の周囲を飛んでいた翼竜が、息を切らせながら懇願する。だが、少年……キリヤは、翼竜に視線を向けることすらせずに答えた。「さっき休憩したばかりだろうが。俺はまだ進む...
L-Triangle!7-3
- 2014/10/04
- 20:43
さて、3ミカが本来、レミエルを放置する予定だったナンナルの屋敷には、3以外のルシファー二人が各々の世界からやって来ていた。一階の広間で、懸命に果物ナイフを探している。あちこちひっくり返しているものの、3がいないので目的のものの在りかがわからず、二人は難儀していた。「最近、フォースのやつ、来ねえな」探すのをあきらめ、ルシファーその1……略して1は、果物をそのままかじる。ごつごつした食感と苦みが気になる...
L-Triangle!7-4
- 2014/10/06
- 21:00
レミエルを抱えてナンナルの屋敷に戻った1を、マリーシアが大喜びで迎えた。「あ、シーザー君だ!戻ってきてくれた~!」「あんたの思念、かなり強力だな……。頭に響きやがる」軽く頭を振りつつ、1は文句を言う。漠然と呼んでいるようなキリヤのそれと違って、マリーシアの思念は言葉の内容までしっかりと聞き取れた。これだけ大声で呼ばれては、1も彼女の呼び声を無視するのは難しい。余計なことを教えてしまったと、彼は早くも...
L-Triangle!7-5
- 2014/10/08
- 20:21
「え……夢で、って……?」半ば硬直しつつ、マリーシアは問い返す。「レミ、毎晩、夢を見るんですぅ。夢の中で、るっぴぃとレミは、難しいお話をたくさんしてるんですよぉ」マリーシアの動揺に気づかず、レミエルは恥じらいながら告白する。やはり、先ほどの件は自分の聞き間違えではなかったのだと、マリーシアは確信した。混乱しつつも、レミエルがどのようないきさつで3のことを運命の相手だと思い至ったのか、慎重に探ることにす...