L-Triangle!1-1
- 2014/02/06
- 16:45
始まりというのは、いつも唐突である。誰もいないはずの空き部屋に、蛍のような光が三つ灯ったのも、その光が、それぞれ軌跡を描き、魔方陣を形成したのも、全て、何の前ふりもなく起こった現象だった。三つの魔方陣が、雷のような音を立てて光の柱を天井へと吹き上げる。しばし雷光がはじけた後、三つの人影が、魔方陣の上にそれぞれ立っていた。「この俺様を召喚するとは大したやつだ!まずは褒めてやろう!」一人が、偉そうに胸...
L-Triangle!1-2
- 2014/02/06
- 17:53
陽光が届かない、薄暗く寒々しい空の下。細剣のように尖った樹木がまばらに生えている以外は、岩が転がる荒野が延々と広がる。時折、大地の割れ目から火が噴き上がり、雷光が轟く。その地では、やせ細った、多くの人間たちが右往左往していた。彼らは、死人であり、生前に罪を犯したため、ここに放り込まれ、罰せられている。そう。ここは、地獄だった。死んだ罪人たちの行きつく先であり、悪魔たちの住処でもあるその地の中央に、...
L-Triangle!1-3
- 2014/02/07
- 18:44
2の世界の、地獄。2は、罪人の阿鼻叫喚やら虐げる悪魔やらを見ていた。その姿は罪人たちが虫けらに見えるほど巨大で、禍々しい体色をしており、頭には山羊の角。大きく開かれた口からは、鋭い牙と、赤い舌が見え隠れしていた。罪人の体をかじったり、悪魔たちに発破をかけたりするのも彼の仕事の一つだが、今日は気が乗らない。先日の、1による指摘が、2に苛立ちを与えていた。(……別に、厄介事を押しつけられたわけじゃねえよ...
L-Triangle!1-4
- 2014/02/07
- 19:05
どこまでも続くアスファルトの道を、一台のバイクが、風となって駆け抜けていく。その背後から、迫る影があった。それは、異世界の街・ナンナルに襲来した怪物と全く同じ、仮面の人形の姿をしていた。怪物は、鋭利な両腕を振り回し、車体を削っていく。追跡を振り切るのは困難だと判断し、バイクは火花を散らしながら停止した。乗り手の青年めがけて怪物の攻撃が殺到するが、彼は跳躍してかわす。空中で一回転して、青年……3は、そ...
L-Triangle!1-5
- 2014/02/08
- 10:51
2の世界。今日も地獄は、罪人たちの悲鳴が絶えない。視察のため、2は地獄中を飛び回っていた。親友や部下たちが、彼につき従う。護衛というよりは、2の仕事のサポート役と言った方が正しい。「仕事、たまってんなー……まあ、自業自得だけどよ」「まあまあ、頑張って片づけようぜ。終わったら飲みにつき合えよ!オールするぞ!」「お、いいっすね、久々に!」書類と罪人たちの苦しむさまを交互に見比べながら、2がうんざりしたよ...