続きを読む

世界は、無数に存在する。ひとつの世界に生きている者たちにとって、それはおそらくどうでもいいことだろう。なぜなら、よほどのことがない限り、次元を超えて、他の世界へ行くことなどありえないのだから。だが、それでも世界は他にも存在する。世界の数だけ、その世界を創造した神も存在するのだ。神その１、神その２、神その３……という具合に。今回の話は、神の敵対勢力の総大将・ルシファーその２が属する世界から始まる。ルシ...

続きを読む

続きを読む

『L-Triangle！』第二話でした。今回は、「結局この異世界って何なの？」初級編でした。第一話でナンナルの人々が勇者だ魔王だと言っていたのは、この世界がそういう世界だからです。代わりに、ルシファー達三人の、元の世界での描写はほぼ皆無でしたが、話の軸がぶれそうだったのであえてそうしました。ギャグ全開の軽い話は、書いていて楽しいです。そして、今回はもうひとりのルシファー（の分体）・ミナが登場しました。彼女は...

続きを読む

ナンナルから遥か離れた大陸に、常に業火が燃え盛る火山がある。近隣の住民から炎神の山と呼ばれたその地の頂に、魔四天王の一人・アガレスの居城があった。炎の結界に包まれたその城は、中に入るどころか、近づいただけで生命に支障が出るほど濃い熱気を放っている。城の最奥で、魔王アガレスは玉座に腰掛け、勇者たちを待ち受けていた。「エビルカイマンが敗北したか……となれば、奴らは遅かれ早かれここに来るだろう。最後の四天...

続きを読む

そして数日後、ナンナルの街は騒然となる。何しろ、魔物の軍勢がこちらへ向かって一直線に攻めてくるのだ。最初にそれに気づいたのは、街の時計台に上っていた修理工だった。「た、大変だ！！魔物が攻めてくるぞ！！」修理工のこの一言で、街の住人達は教会へ押しかける。そこは、緊急時の際の避難所になっていた。事の真偽を確認するために教会の屋根に上った若者が、青い顔で人々が集まる礼拝堂へと戻ってきた。「ほ、本当だ……あ...

続きを読む

場面変わって、魔王ゲメーティスの塔の中。相変わらず、１は床に座り込んでじっと考えていた。気に食わない塔の主を出し抜き、圧倒的な力量差を見せつけるにはどうしたらいいか。時折、そんな彼の眼前を数字のプレートが横切る。彼に問題を解いてほしい、とせがんでいるかのようなその動きに、それだけはありえねえよボケ、と１は胸中で毒づいた。それから、少しだけ時が過ぎ、ついに限界が来た。おもむろに立ち上がり、１が頭をか...

続きを読む

翌日。異世界の街・ナンナルの屋敷の一室で、ふたつの魔方陣が起動した。魔方陣の上に姿を現した１と３は、同時に顔を見合わせる。「……やあ」「……おう」しばし硬直した後、明らかな作り笑顔で声をかけてくる、３。１もぶっきらぼうに応じた。「二日連続で来るのは珍しいね」「お前こそ。仕事はどうしたんだよ」「……ん、まあ、それはね、うん」交わす会話が、どこかぎこちない。ばつが悪そうに、二人は視線を逸らした。「あの女に用...

続きを読む

「久しぶりの帰郷だっていうのに、相変わらずだなあ」のんびりと周囲を見回して、彼女はため息をつく。彼女の言葉通り、その世界には、何もなかった。ただ、白い空間が広がるのみで、空も、海もない。しかも、陸もない。宙を飛行しながら、不便だな、と彼女は思った。「……うん。まだ、方法は見つかっていないよ。期待させちゃって、悪いんだけどさ」虚空を見つめ、彼女は告げる。目の前に人の気配はないのだが、まるで誰かと会話を...

続きを読む

続きを読む

続きを読む